Lembrança(レンブランサ)

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Column(コラム):江藤有希

2004年ブラジル滞在日記…リオ・デ・ジャネイロ篇

1月13日(火)
リオのサントスドゥモン空港は、海の近くにある小さな空港。降りた時から海の匂い。
そして大きな空が広がっていた。空港からタクシーで宿に向かう間、写真でしか見たことのなかった「ポン・ヂ・アスーカル」が見えて感動(またもや小心者で写真撮れませんでした!)。
一大観光地・コパカバーナ海岸に建つアパートメントホテルは、高級地とは思えないほど良心的な低価格。部屋も広いしエアコンつき。でも枕が湿気ていて、ああ海の近くだなぁと実感する。
昼寝した後、裏の洗濯屋へ。台所や冷蔵庫はあるけれど、洗濯機はないので手洗いのもの以外はお店に出します。そこで働くガードマンの青年がやたら人なつっこく、お客で来ていた近所の女性たちと共に談笑。いえいえ、ここまで人の後にくっついて会話をすべて任せていた私は、この時点ではポルトガル語はほとんど話せず、おはよう、こんにちは、こんばんは、あとは買い物ぐらいでした…。

1月14日(水)
セントロで。「TANAKA」の文字はチェーンのお寿司屋さん。 今日の目標は地下鉄に乗って銀行へいくこと。宿から最寄りのシケイラ・カンポスという駅まで、歩いて15分強。途中のショッピングセンターに立ち寄ると、どうも照明が暗い。お店の数もイマイチ。何も買わずに駅へ向かう。乗車賃は均一で、その路線のどの駅まで乗っても片道約70円。
カリオカ駅に着き地上へ出ると、かなり人出が多く活気がある。このあたり一帯はセントロ(中心街)と呼ばれていて、やはりそれだけのことはあるのだろう。しかし、ここのショッピングセンターも暗い!
そして当面の日用品を買いに、タクシーでリオ最大のショッピングセンター「RIOSUL」へ。さすがに広い。お店の数も多い。でも…照明が暗いのです。この時「誰もブラジルで買い物にハマって帰らない謎」がとけたのでした。
それは、街の違い。なんとなく聞いてはいましたが、サンパウロは働いて美味しいものを食べ、おしゃれな服を着る。リオはどちらかといえば遊び、海で泳いで音楽を楽しむ観光地。そう、私のまわりのブラジル帰りの人達はほとんどリオ帰りだったのです。現に私も、これから徐々に音楽に時間を費やすようになるのでした。

1月15日(木)
国立図書館入り口の床。 午前は観光。市立劇場、国立図書館、国立美術館などを知人に案内して頂く。美術館では、私が今まで見たヨーロッパ絵画(もちろん日本でひらかれた絵画展)では感じたことのない、何か新鮮なものを見たような気がします。ブラジルの歴史について描かれた作品も多く、勉強になりました。
夜はいよいよリオ音楽シーンの中心地、ラパへ出陣。前の週にホジェーリオに誘われたライブに向かったのです。
ラパは中心街近くに位置し、数多くのライブハウスが乱立する地域。ここへ行けば毎晩でも、必ずどこかのお店で一流のミュージシャンの演奏が聴ける。しかし犯罪も多発する、要注意エリアの一つでもあります。
ダーマ・ダ・ノイチのライブ風景。ストロボたけず暗すぎた… 『ダーマ・ダ・ノイチ』という名のそのお店は新しくてきれい。夜9時頃着いたけど、メンバーはパンデイロのセウシーニョ一人しか見当たらない。よくあることだそうでどうやら雨のせいで(?)遅れているらしく10時を過ぎてやっと全員集合。
ライブはホナウド・ド・バンドリン、ギターのホジェーリオ、パンデイロのセウシーニョという三人(いずれも昨年来日)によるショーロ演奏で始まり、数曲後に男性歌手のアジェノールがサンバを歌い出す。す、すばらしい演奏、そして歌。楽器は持ってきたけど、聴けただけでいいやぁぐらいの幸福感。
終演後、セウシーニョと。テンション高っ! そしていよいよライブ後半「カンジャ(=飛び入り)」として演奏させてもらうことに。三曲弾いたところ、遠い日本からやってきたことを喜んでくれたのでしょう、メンバーもお客さんも大喜びしてくれました。そして、演奏を終えてステージから降りようとしたら制止された。「座ってろ」と。
へ??
どうやら弾き続けろということらしい。自分が知っているショーロの曲はいいけど、やがて歌手アジェノールの出番。あのぉ、有名なサンバはわかるけど、この人のオリジナル曲なんて知らないんですけど・・
へ??聴きながら弾けって???
ご無体な・・。かくして、ショーロ、サンバはポピュラ−音楽だと体感するべく、帰国までの毎週、このメンバーのライブで弾くことになったのでした。

1月16日(金)
昨晩の興奮と疲れが残り、宿でゴロゴロ。とはいえ、ライブでちゃっかり録音したMDを聴いておさらい。う〜む、コードをとるのは難しい。
リオで初めてネットカフェに行く。一時間で260円くらい。サンパウロより少し割高かな?PCの数はかなり多く、さすがに観光地らしく充実している。店員がお客さんと交わす英語も流暢。
出張でリオにいらしていたTさん(ショーロの練習会の生徒さん)から連絡があり、テレーザ・クリスチーナという女性人気サンバ歌手のライブがあるという。彼女のグループはショーロ演奏も得意としているそうなので出かけることにする。
お店はやはりラパにある『カリオカ・ダ・ジェンマ』。初めてサンバを踊りまくるお店に行ったが、なんという大混雑!芋洗い状態!!
サンバのお店だからか、ショーロ演奏はほんの少し。すぐにテレーザ・クリスチーナの歌で大盛り上がり。聞き入るというより、どさくさにまぎれて私も踊りまくってしまった…。

1月17日(土)
ラパの象徴ともいえる水道橋。 今日はすべてTさんのご案内で、ショーロ関連で3件ハシゴ。
朝、セントロにある楽器店「バンドリン・ヂ・オウロ」へ。ここの二階でホーダ・ヂ・ショーロ(「about choro」の項参照)があるという。楽器をいきいきと弾くおじいさんたちにまざり、一人若者が。彼はチアーゴという16歳のカヴァキーニョ奏者。それにしても全然知らない曲がたくさんあることを再認識。誰も譜面を使わず、よく覚えてます。
2件目は「ショーロ・ナ・フェイラ」のライブ。フェイラ=露店。そのまま、演奏している彼らのグループ名にもなっているのだ。文字どおり屋外でのショーロには黒山の人だかり。フルート、カヴァキーニョ、ギター、パンデイロという編成で、魅力的な演奏。特にフルートのフランクリンのアドリブは素晴らしい。私も数曲一緒に弾かせて頂いた。
昼寝してから今夜もラパへ。お店は『アルマゼン161』。アルマゼンとは倉庫のこと。昔本当に倉庫だったそうで、天井には様々な電灯が。しかも一つ一つに値札がついているから売っているらしい。大変ユニーク。
ライブは昨日と同じテレーザ・クリスチーナ。ただし今日はショーロ演奏も多め。ライブ後半で「カンジャ」として3曲弾かせてもらう。やはりヴァイオリンでのショーロは珍しいらしい。演奏後、色々な人から声をかけてもらう。泣いた女性がいたと聞いた。出逢った人達はみんな温かかったです。
Tさんがテレーザ達と仲が良いため、ライブ終演後テレーザとペドロ(パンデイロ)も一緒に食事に行った。私はそんなに有名な人とは知りませんでしたが、本当に屈託のない、人なつっこく親切な人達で結局宿まで送って頂いたのでした。写真とかサインを沢山もらっておけばよかった…。

1月18日(日)
ブラジルの1月はもう夏。色鮮やかな花が咲く。 昨日の強行軍で朝は起きられず。休日にする。
そういえば日曜なので世の中も休日、お休みのお店が多い。それでも近所にある大型スーパー2軒のうち、1軒は開いているので助かる。
諸外国同様、水道水は飲めないのでお水は買わなければならない。料理をしていると、例えばパスタの茹で汁はうす茶色。洗い物をしていると時々お米のとぎ汁のような白い水が出てきて、それは無気味なものだ。いつも二つのスーパーの水の値段をくらべるのが日課となってしまいました。


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